介護職員初任者研修をハローワークで取得するメリット・デメリット
ハローワークでは、求職中の人を対象とした職業訓練制度を導入しています。この制度を利用し、介護職員初任者研修を無料で受講することも可能です。しかし制度の利用には一定の条件が存在します。この記事では、職業訓練制度の種類や条件、制度を利用した際のメリットやデメリットを解説します。
ハローワークの資格制度って?
ハローワークの職業訓練制度とは、資格取得にかかる研修費用や交通費を国が負担してくれる制度です。厚生労働省が認定した民間の教育訓練機関や、自治体が運営している講座を無料で受講できます。専門技術の習得や資格の取得を促し就職をサポートするために導入されており、介護職員初任者研修を受講することも可能です。
対象者は?
職業訓練制度は求職中の人を対象とした制度です。一定の条件をクリアした人であれば利用可能ですが、ハローワークの窓口で申し込みを行い、書類選考や筆記試験、面接を受けなければいけません。
制度の種類
ハローワークの職業訓練制度には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があります。「公共職業訓練」は、失業保険を受給している求職者を主な対象としており、「求職者支援訓練」は、失業保険を受給できない求職者を主な対象としています。どちらの場合も、講座を無料で受講できる点は変わりません。
「公共職業訓練」を受けるための条件
公共職業訓練の条件は3つです。第1に、失業保険の受給資格があること。第2に、ハローワークへ求職の申し込みが済んでいること。第3に、過去1年以内に職業訓練制度を利用していないことです。失業保険の受給資格があるだけでなく、ハローワークで求職者として登録をし、ハローワークカードを発行してもらう必要があります。その後、相談員との面談で就職の意思を明確化し、働く意欲を示します。やる気がないと見なされてしまえば、職業訓練制度の利用が難しくなってしまうため注意が必要です。さらに、過去1年以内に職業訓練を受けたことがある人は再受講できない点や、基礎コースの場合は2年以上経過していることが条件となる点を理解しておきましょう。
「求職者支援訓練」を受けるための条件
求職者支援訓練の条件も、公共職業訓練と同様に3つです。第1に失業保険の受給資格がないこと。第2にハローワークに求職の申し込みが済んでいること。第3に過去1年以内に職業訓練制度を利用していないことです。第1条件の「失業保険の受給資格がない」に関しては、学校を卒業後1度も就職をしていない人や自営の仕事を廃業した人、専業主婦などが該当します。さらに、失業保険の受給期間が終了した場合も対象者となります。第2・第3の条件については、公共職業訓練と同じ認識です。働く意思を示し、受講できる期間に注意して申し込みを行いましょう。
ハローワークで介護職員初任者研修を取得するメリット
続いては、ハローワークで介護職員初任者研修を取得するメリットを解説します。
費用面の支援
ハローワークの職業訓練制度を利用して介護職員初任者研修を取得するメリットは、費用負担が軽減される点です。介護職員初任者研修を民間のスクールで受講する場合、資格取得までには3~10万円程度の費用がかかります。しかし職業訓練制度を利用することで受講料が無料になるため、金銭面を理由に介護職員初任者研修の受講をためらっている人におすすめです。
手当の支給
ハローワークで介護職員初任者研修を受講すると、複数の手当が支給されます。最大40日間にわたり支払われる受講手当や、通学にかかる通所手当です。職業訓練制度を利用せず介護職員初任者研修を受講する場合、スクールが遠方で交通費が高額になる可能性もあります。その点ハローワークでの介護職員初任者研修受講は、交通費の負担が軽減できる点もメリットです。
失業保険の早期受給
失業保険は通常、3ヶ月の給付制限期間を経過しなければ受け取ることができません。しかし、公共職業訓練を利用した場合、訓練開始日に給付制限が解除されます。失業保険の給付を3ヶ月間待つことで生活に困窮するケースもあるでしょう。そのため、給付期限を解除できる点は大きなメリットといえます。
失業保険の延長
公共職業訓練の制度を利用して受講した場合、失業保険の給付を訓練修了まで延長することが可能です。ただし、失業保険の残日数によっては受けられないケースもあるため、ご自身が対象となるかはハローワークで確認することをおすすめします。また、介護職員初任者研修は一般的に3ヶ月程度で受講が修了するため、1年以上かけて行う長期訓練のような恩恵を受けられないという点は理解しておきましょう。
求職者支援制度
失業保険を受給できない求職者支援訓練の対象者に対し、月10万円の生活支援給付金が支給される制度です。そもそも生活費が手元になければ研修を受けることすら困難になってしまいます。月収や世帯収入、金融資産など、とても厳しい条件が定められていますが、求職者支援訓練の対象者は頭に入れておくとよいでしょう。
ハローワークで介護職員初任者研修を取得するデメリット
ハローワークで介護職員初任者研修を取得する場合、金銭面を中心に豊富なメリットが用意されています。しかし、注意すべきはデメリットです。こちらではデメリットを解説するため、これから職業訓練制度を利用して介護職員初任者研修を取得しようと考えている人は確認をおすすめします。
テキストは実費
職業訓練制度を利用することで、介護職員初任者研修の受講料は無料になります。しかし、必要なテキスト代は実費になるため注意してください。テキスト代の目安は、初任者研修の場合5,000~10,000円ほどです。
授業のコース選択ができない
介護職員初任者研修を受講する場合、民間のスクールでは1ヶ月半程度で資格が取得できるコースが用意されています。しかしハローワークの場合、3ヶ月程度の受講期間が必要です。また、講習は基本的に平日の昼間のみ。土日や曜日指定など、都合に合わせてコースを選択することはできません。また、地域によっては初任者研修自体が存在せず、「介護福祉士実務者研修」の募集のみのケースもあります。
選考から漏れる可能性も
職業訓練制度を利用して介護職員初任者研修を受講する場合、申し込み後に面接および筆記試験を受ける必要があります。介護職員初任者研修は人気があり、倍率が高くなる場合も多いです。時期や自治体によって異なりますが、地域によっては3倍や5倍などというケースもあるようです。そのため、対象者であってもハローワークで介護職員初任者研修を受けることができない可能性もあると覚えておきましょう。筆記試験の内容は地域によって異なり、簡単な読み書きから計算問題、一般常識などで構成されています。心配な場合は管轄のハローワークに確認を行うなど、万全の体制で挑んでください。
まとめ
この記事では、ハローワークの資格制度や、介護職員初任者研修をハローワークで取得するメリット・デメリットをご紹介しました。職業訓練制度は受講料が無料になるなど、金銭面で多くのメリットがあります。しかし実際に受講するためには高倍率の選考に通らなければならないなど、条件は厳しいです。そのため、制度を利用してお得に資格を取得したい人は、事前準備をしっかりと行うことをおすすめします。